野良猫のつぶやき

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2003年4月20日  親父の花道

先の金曜日、久々の現場(といってもただの立会)から事務所へ戻って、データの整理にえらく手間取り最終電車になってしまった。 夫の作ってくれた夕飯を食べて風呂に入り、だらだらとしていたら2時を過ぎた。 ちょうどその頃、親父は宿泊先の今治のホテルで、こときれていたらしい。
   その日の宴会が決まって泊まりになることを母親に告げたとき、親父はなんだかうれしそうだったということだ。 当夜も上機嫌だったらしく、久しく歌っていなかったカラオケで何曲か歌ったらしい。

翌朝ホテルから突然呼び出しを受けた母親は、おそらくわけがわからないまま、松山の自宅からタクシーで今治へ向かった。 最期の状況がわからなかったため、警察から簡単な尋問を受けた後、特に必要がないということで死因確認のための解剖を断り、親父を連れて松山へ戻った。 今治から松山へ抜ける山道はちょうど桜が満開でみごとだったという。

私は、親父の人生は幸せに終わったのだと思っている。 当然心残りなことも多いだろうが、それなりの達成感のある人生だったろうと、勝手に想像している。
   ただせめてあと数年、生きながらえて仕事から完全に解放された親父の姿を見てみたかった。 きっと私だけではなく、みんなそう思っている。

葬儀を終えて滋賀へ戻ってくると、桜は散って木々の枝からは緑が吹き出していた。 久々の出勤で駅のホームに上がると、見慣れない子供たちが、ぶかぶかの学生服を着てじゃれあいながら電車を待っていた。

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